乳酸菌が免疫活性を活発にする

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乳酸菌は、免疫力をアップする効果もある。免疫力とは、外から体内に入ってきたウイルスや病原菌などの異物を排除しようとする防御システムだ。免疫力が低下すると、かぜをひきやすく、肺炎や結核などの感染症、がんといった病気を引きおこす。

免疫力の主役は、血液中の白血球だ。その中にあるマクロファージとリンパ球という免疫細胞が互いに協力し合って、異物から私たちの体を守っている。白血球は、敵をむかえうつ兵士にたとえられるが、マクロファージは大食細胞といわれ、異物を発見すると自分の細胞内に取り込んで異物を酵素で分解する。

一方、リンパ球には、B細胞とT細胞かあって、B細胞はおもに抗体をつくり、病原微生物を攻撃する。T細胞はインターフェロンなどを分泌して直接、病原微生物を攻撃する。ただ、リンパ球がマクロファージと違うところは、一度やっつけた相手を覚えていて、次にも前と同様の攻撃をしかける点だ。ごくごく簡単にいうと、こうした仕組みが免疫のメカニズムだ。

この免疫メカニズムを乳酸菌がスムーズに働かせることがわかってきた。マクロファージやリンパ球の働きを活性化するのだ。

がん細胞を移植したマウスに乳酸菌(ラクトバチルスーカゼイーシロタ)を飲ませたところ、移植がんの増殖がおさえられ、免疫力がアップしたとの報告がある。乳酸菌を飲ませたマウスでは、白血球の中のリンパ球の一種であるT細胞が正常に働き、免疫機能が活発になっていた。一方、飲ませなかったマウスは、T細胞の働きが弱まっていた。つまり、乳酸菌によって、T細胞の機能が増強されて、がん細胞の増殖がおさえられたと理解できる。

ネズミにヨーグルトを与えると、ネズミチフス菌に対する防御反応が強くなるとの報告もある。また、X線治療を受けた患者は白血球が減少するが、ヨーグルトを食べさせると白血球が増えることもわかっている。 

さらに動物実験では、インフルエンザウイルスを投与したマウスに、乳酸菌(ラクトバチルスーカゼイーシロタ)を与えると、インフルエンザにならないとの結果も出ている。これも、乳酸菌によってマウスの免疫力が高まったからだと考えられる。

ビフィズス菌や乳酸菌の菌体成分が、腸管から血液やリンパ液に流れ込み、T細胞やIgAなどの免疫組織を刺激し、抗原に対して反応が迅速になる。無菌動物と通常動物をくらべた場合、大腸内に細菌のまったくいない無菌動物よりも、細菌のいる動物のほうが、腸膜の網内系の発達がよく、抗原に対しての反応がはやい。さらに、抹消マクロファージの抗原消化が迅速で、抗体をつくる細胞への抗原情報伝達がはやいこともわかっている。つまり、腸管から吸収された大腸内細菌の抗原が、免疫抗体をつくり出す力をアップしているのだ。

一九九七年に、大阪府堺市で大発生したO‐157感染を思い出してほしい。被害者の多くは、小さな子どもとお年よりだった。しかし、O-157に感染しても、症状の重い人もいれば、軽い人もいた。すべての人たちが、同じ症状だったわけではない。重症か軽症かの症状の分かれ目は、腸内細菌叢のバランスだった。同じものを食べても、食中毒になる人とそうでない人がいるし、症状も人さまざまだ。体内に侵入した病原菌に対し、どれだけの抵抗力があるかによって、発症や症状の程度が違ってくる。免疫力の働きは、腸内の細菌のバランスが大きく関係しているのだ。

大腸内に善玉菌が優勢なときは、病原菌が侵入しても病気にはならない。けれども、精神的なストレス、不規則な生活、環境汚染などによって、悪玉菌が優勢なときは、かぜをひきやすくなったり、お腹の調子がよくないなどの症状が出てくる。だから、積極的に乳酸菌などを含むヨーグルトや乳酸菌飲料をとることは、免疫力至局めるうえで大切なのだ。

さらに、乳酸菌には、インターフェロンを増やす働きがある。インターフェロンは、白血球やリンパ球によってつくられるたんぱく質で、ふだんは血液やリンパ球の中にわずかしか存在していない。α、β、γの三つのタイプがあり、ウイルスなどが体内に侵入した非常時に、大量につくられる物質だ。ウイルスの増殖をおさえるばかりでなく、リンパ球などの白血球に働きかけて、ウイルス感染から体を守る。がんや肝臓病、糖尿病の患者は、健康な人にくらべてインターフェロンをつくる能力が低下していることがわかっている。

このインターフェロンを乳酸菌(ラクトバチルスーカゼイーシロタ)の菌体成分が増加させるとの実験結果が出ているのだ。乳酸菌の菌体成分が入った錠剤を、一九人の成人男女に、毎食後四週間にわたって飲んでもらったところ、乳酸菌の菌体成分がインターフェロンによい効果をおよぼしたというのだ。

ヒトや動物は、老化に伴ってがんの発生頻度が高くなる。これは老化によって、胸腺でつくられるリンパ球の産生能力が低下するためだ。老化に伴って、腸内細菌叢のバランスが悪くなることは今まで述べたとおりだが、腸内細菌叢のバランスを最適に保てば、大腸内に常在している細菌の免疫能を高く維持させて、老化によるさまざまな病気や感染、がんの発生をおさえることができるのだ。 

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