ヨーグルトのアレルギー低減効果~花粉症がなおった!?~

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唐突にティッシュペーパーの話で恐縮だが、私は五三歳になるまで、木枯らしが吹きはじめて桜が咲くまでのあいだ、片ときもティッシュペーパーを離すことができなかった。ポケットティッシュなどというかわいらしいものではない。箱ごと肌身離さずかかえていたのだ。

マスクなしでは外は歩けない。もうおわかりだろう。私は強度の花粉症だったのだ。

秋も終わりに近づくと、研究室のみんなが、私の鼻に注目する。「いつ、辨野さんの鼻水が出はじめるか」-それによって、花粉症の季節の到来がわかったからだ。誰よりも早く、くしやみ・鼻水、涙眼になる花粉症指示マーカーのような存在、それが私だった。しかし、二〇〇一年から生活を変え、肉中心から野菜中心の食事にして、一日に五〇〇グラムのヨーグルトを食べはじめたところ、二〇〇二年は、まったくといっていいほど、ティッシュのお世話にはならなかった。花粉症とおさらばできたのだ。

これまでも、花粉症にきく薬があると聞けば、あれこれためしてきた。錠剤あり、漢方あり。けれど、どれもこれといった効果がなかった。一年のうち半分は、私にとっては憂うつな季節だったのだ。それが、半年間、ヨーグルトを食べ続けたおかげで、もちろん、それだけではないが、花粉症がなおった。マスクなしでも外を歩き、ティッシュのごやっかいにならずにすんだ。腸内細菌と長いつき合いであるにもかかわらず、恥ずかしながら正直いって、これほど乳酸菌に効力があるとは思わなかったのだ。灯台もと暗しとはこのことだ。

花粉症は、アレルギー反応のひとつ。免疫システムの異常がアレルギーを引きおこすことがわかっている。空気や食べ物、飲み物、血液から入り込む細菌やウイルスなどの異物を体の外に排除するのが、免疫系を中心とする防御機構だ。

粘膜の粘液や涙、唾液、胃酸、腸などの常在細菌などは、細菌やウイルスをやっつける防御機構だが、これらを乗り越えて体に入ってくる病原微生物を攻撃するのが、血液中の白血球だ。白血球には、好中球、単球、リンパ球がある。これらから発達したマクロファージは、病原微生物を食べてしまう。また、リンパ球には、抗体をつくって病原微生物をやっつけるB細胞と、インターフェロンなどを分泌して直接、病原微生物を攻撃するT細胞がある。

T細胞は、さらにThl細胞とTh2細胞に分けられ、Th2細胞が活性化すると、アレルギー反応があらわれるといわれる。Thl細胞が活性化してTh2細胞の働きをおさえれば、アレルギーはおさえられる。そのThl細胞の活性を促進する乳酸菌の菌株が見つかっているのだ。花粉症への私のヨーグルト効果は、こうした乳酸菌の効果に裏づけられていたのだ。 

アレルギー疾患の中で、とくに最近子どもたちに目立ってきている症状がある。気管支喘息だ。気管支喘息は、突然おこるものではなく、アトピー性皮膚炎からしだいに気管支喘息発症へと症状が変わってくる。簡単に経過をみてみよう。まず、生後一~ニカ月ごろから、首の周囲や顔、わきなどにアトピー性皮膚炎があらわれ、下痢もしやすくなる。これを小児湿疹といっている。生後半年から一年ごろになると、湿疹は少しおさまってくるものの、鼻水やくしゃみが止まらず、かぜをひきやすくなる。さらに、軽く「ゼーゼー」といわゆる喘息様気管支炎といわれる症状が出てくる。それを繰り返すうちに、本格的な発作へと変わっていく。

アレルギー体質の人は、多くの場合、このように各器官でアレルギーの連鎖反応をおこしていく。症状がアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息と重い症状へ進行し、発症する部位も、皮膚から上気道、下気道と移っていく。こうしたようすがまるで、隊列を組んで行進しているようなので、「アレルギーマーチ」と呼ばれている。

アレルギーマーチに陥るきっかけのひとつにあげられるのが、乳幼児の食物アレルギーだ。離乳食に含まれる卵や牛乳、大豆といった重要なたんぱく質源が、食物抗原として発症する。そのため、アレルギーになりにくくする食物や、症状を軽減する食物の開発も進められているが、まだ十分とはいえない状態だ。食物アレルギーをもった子どもの親たち、とくにお母さんたちの苦労は並大抵ではない。アレルギーをもつ子どもに、何をどのように食べさせるか、食事のことを思って一日がすぎるといっても過言ではないほど深刻なのだ。

食物アレルギーの症状がもっとも早く出るのが消化管だ。口から抗原が入って最初に出会い、標的にされる。胃や腸で消化されて、栄養素として体内で消化されるが、消化される以前は、食物は人間にとってすべて異物なのだ。消化されてアミノ酸やぶどう糖などになって初めて、異物ではなく体に必要な構成成分になって免疫刺激がなくなる。

だから、食物成分が完全に消化されるか、完全に消化されたものだけが体に入れば、食物アレルギーはおこらない。健康であれば、異物に対して強く、異物を排除しようとする免疫反応が過剰におきないようにコントロールされている。けれども、健康状態が悪く、アレルギー反応がおこりやすい体内の環境がつくられると、食物に対して強い免疫反応がおこる。その結果、下痢や湿疹、喘息などのアレルギー症状がおこってくるのだ。これらの症状はすべて、免疫グロブリンEを介した即時型反応と呼ばれている。

なぜ、アレルギーマーチがおこるかの原因は、はっきりしていない。素因としては、アレルギー体質があげられる。小児気管支喘息の子どもたちの家族を調べてみると、約三分の二に、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患がみられるとの報告がある。家族にこうした症状をもつ子どもたちは、アレルギー疾患を発症する可能性が高いといえるわけだ。

現在、家族内にアレルギー性疾患の患者がいて、将来、発症するおそれのある乳幼児に対しては、妊娠中から授乳時にかけて、病院でも予防策がとられているが、まだまだ、これからの段階だ。そこで次に、アレルギー症状の中でも、アトピー性皮膚炎に対する乳酸菌の効果を紹介しょう。 

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