新生児の腸内細菌叢の変化
新生児の最初のウンチは大事だが、腸内細菌叢の構成は、日常のさまざまな要因によって変化する。親からいいウンチをもらった人はもちろん、たとえ悪いウンチをもらった人も、腸内環境を変える努力は報われる。ご安心あれ!
人が健康なときは、腸内細菌叢では善玉菌の働きが高い。しかし、なんらかの原因でバランスが崩れて悪玉菌が優勢になると、私たちの健康はおびやかされてくる。
腸内細菌叢を変える要因をみてみよう。
①消化管内の酸度
呼吸器官はもちろん、皮膚全体から細菌は常に体内に侵入している。そこで、何かパリアになるかというと消化液だ。唾液、胃液、腸液などが働いている。とくに、胃の酸度が高いと、外から入ってくる徹生物の種類や菌数が少ないといわれる。胃酸は病原菌の侵入を防ぐ働きをしているが、胃酸の分泌が極端に少ない無酸症の人では、健康であれば大腸でしか検出されない大腸菌や病原菌が、胃の中に見つかる。また、胃潰瘍や胃がんなどで、胃の大部分を切除した人では、小腸に大腸菌が増殖していることがある。小腸内には細菌が比較的少ないが、これは、小腸のぜん動運動がはやいためだと考えられる。
酵素や粘液、胆汁も腸内細菌叢に影響を与えている。とくに胆汁の主成分である胆汁酸は、大腸内の多くの菌には殺菌作用を示すが、逆に、大腸菌や腸球菌などの悪玉菌に対しては発育を促進する働きがある。そして、この胆汁酸の分泌を促すのが、高脂肪・高たんぱく質の食事なのだ。
②かたよった食生活
腸内細菌は、人間が食べた食物の成分をえさとして増殖する。ウエルシュ菌や大腸菌は、脂肪やたんぱく質を好む。肉中心の欧米型の食事をしている人は、とくに注意が必要だ。善玉菌が好むえさと、悪玉菌が好むえさを知れば、どのような食生活が腸内環境をよくするかがわかる。
③運動不足の生活
車に長時間乗っていると、便秘になったり、やたらとおならが出ることはないだろうか。運動が不足すると、腸のぜん動運動が不活発になる。そのため、腸内に食べ物がとどまる時間が長くなり、ウエルシュ菌などの腐敗菌がこれらをえさにして増殖する。腸内の腐敗が進行すると、アンモニアやフェノール、インドールなどの有害物質がつくられ、湯内細菌叢を変えるばかりか、それらが腸管から吸収されて全身に回り、健康に害を及ぼす
④ストレスの多い生活
ストレスがかかると、胃酸や腸液の分泌がにぶるために腸内の酸度が変わり、腸内細菌叢のバランスを変える。また、腸のぜん動運動もにぶくなる。
⑤抗生物質などの薬の飲みすぎ
抗生物質は、病気の原因となる病原菌以外の腸内細菌も殺してしまうために、腸内細菌叢の構成が変わる。
このほか、肝硬変や慢性腎炎、がんなどの病気、かぜ、ワクチンの接種、放射線治療、気候なども、腸内細菌叢の構成に変化をきたすことが報告されている。
食べ物、ストレス、気候、病原細菌、薬の機能が、腸内細菌の構成を変えることで、ビフィズス菌が激減もしくは消失し、一方、大腸菌や腸球菌、ウエルシュ菌が急増する。代謝物の変化、生理機構へも大きな変化をもたらすのだ。
- 過敵性腸症候群(以前は過敏性大腸炎とよばれていた)
過敏性腸症候群は、精神的な不安や緊張などがもとで自律神経系に乱れを生じた結果、腸の運動や分泌機能が過致になって、便通異常を起こす病気だ。特徴は、下痢や便秘を繰り返す。腸そのものに炎症などの器質的な異常はなく、精神的な影響による症状がみられる。 - 腸内細菌が引きおこす病気
腸内細菌は、腸管に直接障害を与える場合と、血流を介して全身に回り、全身疾患をおこす場合とがある。どの腸内細菌がそれぞれの病気を引きおこす原因であるかの特定はまだできていないが、がんを誘発する中間物質をつくり出す菌の解明は少しずつではあるが進んできているのだ。 - 現代の食事が腸内細菌を変える
食事が腸内細菌叢に影響をおよぽしていることが指摘されはじめたのは、がんの発症部位の変化によるところが大きい。