乳酸菌

にんにくのあとにヨーグルトを

「にんにくを食べたあとは、牛乳でにおい消し」とよくいわれるが、乳酸菌の効果は、においを吸収するのではなく、においのもとを断つ働きがある。

私か三〇代のころ、一日一.五キログラムの肉を食べ続ける実験をしたことは以前に述べた。そのときの自分の体臭や口臭、おならのにおいは、今思い返してもぞっとする。「これが私なのか」と思うようなにおいになっていくのだ。もちろん、肉を中心とし、ほとんど肉しか食べない文化もあるが、私は、肉食を続けて変わっていった自分のにおいに抵抗があった。やっぱり、「臭い」のだ。

臭いにおいは、肉類を食べすぎたために、たんぱく質や脂肪が消化・吸収されないままに大腸に達して、悪玉菌である大腸菌やウエルシュ菌のえさになってしまうことからおこっている。これらの悪玉菌が、たんぱく質やアミノ酸を腐敗させて、アミンやアンモニア、硫化水素などの有害物質をつくり、血液中に入り込んで全身を回ってにおいを発する。おならも、しかりだ。


ヨーグルトの美容効果

「ヨーグルトできれいになったんですよ」「よかったですね。毎朝、すっきりするようになったでしょう?」「そっちもそうですけど、肌、肌です。わかりませんか?」

便秘で悩んでいた女性にヨーグルトをすすめたら、こんな反応があった。ヨーグルトを食べ続けたら、便秘が解消してきたばかりか、肌のハリやつやがよくなってきたというのだ。

古代ペルシアでは、ヨーグルトは化粧品として利用されていたとの記録がある。美しくなる秘薬として珍重されていたわけだ。最近、若い女性たちのあいだで、手づくりの化粧品が流行しているそうだが、ヨーグルトを使った化粧品もあるそうだ。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、腸内で乳酸や酢酸をつくって腸を刺激し、ぜん動を活発にする。そのため便通がよくなり、便秘の解消につながる。便秘になると、新陳代謝が悪くなるため、血行がとどこおり、肌のハリやつやが失われる。また、腸内で増えた悪玉菌やそれによってつくられる有害物質が、血液を通って全身に回り、肩こりゃ頭痛を引きおこす。吹き出物や肌あれ、シミなど肌への影響も大きい。便秘を解消し、腸の運動をよくすることが、肌がきれいになることに直結しているのだ。 


ヨーグルトで歯周病をなおす

あなたは、八〇歳になったときの自分の歯の状態を想像したことかおるだろうか? 「八〇歳のハ?」といわれても、というかもしれないが、八〇歳になって二〇本以上、自分の歯かおる人は、日本人の全体の一五・三%。あとは、入れ歯か差し歯か、もしくは歯がない、といった状態なのだ。「いつまでもあると思うな、自分の歯」というわけだ。その原因が歯周病。日本人の成人の二人に一人は歯周病だといわれている。年代が高くなればなるほどその率は上がり、三五~四四歳では八〇%、四五~五四歳ではなんと八五%の人が歯周病にかかっているという。驚くべき数字だ。

歯周病は歯ぐきがはれて出血し、膿が出て歯がぐらつき、口臭もきつくなり、しまいには歯が抜けてしまう病気だ。歯肉や歯根膜、歯槽骨、歯のセメント質など歯を支えている組織を歯周組織というが、この組織に炎症がおこる病気が歯周病だ。歯肉が炎症してはれたり出血する「歯肉炎」と、歯を支えている歯槽骨が破壊される「歯周炎」がある。歯周炎は正式には慢性辺縁性歯周炎といい、がっては歯槽膿漏といわれた。

たいていは痛みがないまま進行するので、異常に気づいたときは、かなり症状が進行していることが多い。気がついたら、ある日突然、歯がまとめて抜けていたということにもなりかねないおそろしい病気だ。

歯周病菌は、最近では心筋梗塞や肺炎、糖尿病などに影響をおよぽすといわれている。炎症した歯ぐきから体内に入った歯周病菌が、血液をめぐって全身に回り、体の各所で炎症をおこすのだ。「歯周病の人は、健康な人にくらべて、三倍も心筋梗塞をおこす確率が高い」との報告が、アメリカでなされている。

原因は歯の付け根部分の歯垢にいる歯周病菌。食べ物のカスを分解して、歯肉に炎症をおこす物質をつくり出す。歯周病菌の一種であるポーリフォモナスーシンジバーリスが歯周ポケットといわれる歯と歯肉のすきまで繁殖し、炎症が進行し、ひどくなると歯が抜ける。 


乳酸菌が老人性痴呆症を予防する

痴呆症高齢者の問題は、現代社会に多くの波紋を投げかけている。老人性痴呆症の発症に関与する因子として、脳の加齢、遺伝因子、アミロイド、ウイルス、金属などが考えられている。脳の加齢については、神経細胞に対する毒性物質の産生、神経栄養因子の減少、神経栄養因子に対する反応性および脳髄液中の種々の酵素活性の低下などの報告がなされているが、いまだその解決には達していないのが現状だ。

むろん、腸内細菌の産生する細菌毒素も、その要因として大切であろう。なぜなら、血中を介して、腸内細菌の産生した細菌毒素が長時間かけて全身に行き渡り、いずれ神経細胞の機能低下を導くと考えられるからだ。

アルツハイマーを主とする各種痴呆症の患者七例(年齢六一~九〇歳)の腸内細菌叢を調べたところ、健康な高齢者のそれとを比較した成績では患者のウエルシュ菌の菌数が異常に高いことが認められている。また、下剤を常用している痴呆症高齢者一〇例(平均年齢八二・四歳)の腸内細菌の特徴として、ビフィズス菌の低下が顕著であり、また、クロストリジウム、ウエルシュ菌および大腸菌の菌数が増加することも報告されている。

痴呆症高齢者の異常な腸内細菌の改善に、ヨーグルトを投与することにより、痴呆症高齢者の便秘症改善にもかなり効果がみられる。また痴呆症予防のために、ウエルシュ菌をはじめとする毒素産生菌のコントロールが重要であるかもしれない。


ヨーグルトの整腸作用

整腸作用の第一は、昔からいわれていた乳酸菌の「お腹の調子を整える」効果だ。小さいころ、下痢をすると、白い錠剤を飲まされた覚えのある人は多いことだろう。乳酸菌を薬として使用していたわけだ。また、乳酸菌がつくる乳酸や酢酸によって、腸のぜん動運動が活発になるので、取り入れた食物の消化や吸収がよくなる。

胃酸欠乏や栄養不良による下痢、抗生物質誘導性の下痢、乳幼児の下痢や慢性の便秘に、乳酸菌が効果があることは経験的に知られていた。とくに、下痢に対する発酵乳の効果はてきめんで、一九六〇年代から、乳酸菌(ラクトバチルスーカゼイ)が腸内の赤痢菌を減らしたり、胃腸症状の改善、難治性の乳児下痢症を改善する効果が報告されていた。これまで、発酵乳の整腸作用といえば、下痢や便秘の解消という程度だった。が、現在の整腸作用はそれにとどまらない。

具体的には、乳酸梓菌やビフィズス菌といった善玉菌を増やし、ウェルシュ菌や大腸菌などの悪玉菌を減らす。腸内の環境を酸性にし、腐敗産物、とくにアンモニアを減少する。そうした腸内細菌叢の構成を変えることで、腸内環境が改善され、便秘を防ぎ、腸内腐敗菌がっくり出す有害物質や発がん物質の産生をおさえるなどの効果がいわれるようになっている。 


ヨーグルトで超便秘の解消

下剤を使っても、二週間に一度しかウンチが出なかった女性たちに、毎日ヨーグルトを三〇〇グラム食べてもらったところ、ほとんどが一週間程度でウンチが出るようになっていた。便通だけでなく、大腸内の細菌叢の構成も大幅に変化して悪玉菌のクロストリジウムなどが減って、善玉菌のビフィズス菌が増えていたという話だ。

排便を促す腸のぜん動運動は、一目にI~二回程度しかおこらない。せっかく便意がおこっても、そのときにウンチをしなければ、しだいに直腸は便意を伝えなくなり、便意がない状態になる。つまり、便秘になる。また、ウンチが出るためには、十分な水分が必要だ。いきまずに出る健康なウンチなら、水分は八〇%。しかし、コロコロウンチは水分が六〇%以下だ。通常なら、一日か二日で大腸を通過するウンチが、何日も大腸内にとどまっていたら、どんどん水分は吸収されてかたくなる。そこでヨーグルトをとると、乳酸菌がっくり出す酢酸や乳酸が、腸を刺激してぜん動運動を活発にするので、便通がよくなるのだ。

便秘が深刻なのは、若い世代ばかりではない。便秘は高齢者にとっても深刻な問題だ。とくに、寝たきりや痴呆症の高齢者は、加齢による内臓器官の運動機能の衰えで便秘になる。一度便秘になると食欲不振になり、出るものがなくなり、ますます便秘の悪循環に陥る。そこで、便秘の解消に、食物繊維や発酵乳をとることがすすめられている。ほぼ寝たきりの老人に対して、発酵乳を飲んでもらったところ、排便回数が増えたとの報告がある。 


ヨーグルトの腸内環境改善作用

これまでは、腸内細菌叢の変動をとらえて、その有効性を論じることが多かったが、これらがどのような生理機能をもち、また、その機能にかかわる物質やメカニズムと腸内細菌叢との関係が、徐々にあきらかにされてきた。大腸内におけるプロバイオティクスの機能解明だ。

また、ビフィズス菌(ビフィドバクテリウムーラクティス・Bb-12)の入ったヨーグルトをとり続けると、腸管組織の成長になくてはならないポリアミン量が増えることがわかっているし、炎症をおこすときのマーカーとなるハプトグロブリン量が減る、突然変異の数が減るなどの効果も認められている。

さらに、消化・吸収増進作用がある。乳製品に含まれるたんぱく質やビタミン、ミネラル類の吸収をよくする。とくにカルシウムは乳酸と結合して乳酸カルシウムとなり、吸収されやすくなって骨粗しょう症を防ぐ。さらに、ヨーグルトに含まれる乳酸が、胃酸の分泌を減らし、胃の負担を軽くする効果もある。

牛乳を飲むとすぐ下痢をしてトイレに直行! という乳糖不耐症の人にヨーグルトを与えると、未発酵乳にくらべて、下痢がおきにくくなることが報告されている。乳糖不耐症の軽減効果だ。ヨーグルトなどの発酵乳になると、含まれる乳糖量が減るためだ。また、乳酸菌の乳糖分解酵素が大腸内の乳糖量を減少させる働きもある。 


ヨーグルトは血圧を下げる

「サイレントキラー」(静かなる殺人者)  どこかで聞いた映画のタイトル? ではない。もしかして、あなたにしのびよっているかもしれない殺人者、それが高血圧だ。ちょっとぐらい血圧が高めでも、「たいしたことないさ」と思っているかもしれないが、たかが高血圧とあなどってはいけない。血圧も収縮期血圧(上の血圧)が二〇〇ミリメートルHgを超えれば、頭痛や肩こり、地面が揺らぐ、頭がふらふらするなどの異常に気づくが、一六〇ぐらいなら自覚症状がまったくないことも少なくない。血圧が高ければ、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞、腎機能障害など、さまざまな症状を引きおこすのだ。

高血圧は、血管内を流れる血液が血管壁を押す力が高くなる症状だ。神経系、内分泌系、腎臓の働きなどが悪くなると、血管が収縮したり、水分や塩分の排泄がうまくいかず、血液の量が増えて血圧が上がる。

高血圧は、心臓病や脳卒中などのすべての循環器病に共通しか危険因子だ。現在の死亡率は、がん、心臓病、脳卒中の順だが、高血圧の結果、引きおこされた心臓病と脳卒中の死亡率を合わせると、がんを上回っている。年をとるとともに、高血圧になる率は高くなり、六〇歳以上では二五%が高血圧、三五%が高血圧の傾向がある。実に、三人に二人が高血圧状態なのだ。

また、高血圧は代謝異常と関係が深いといわれるようになってきている。高血圧になると、糖代謝を促進するインスリンが働きにくい「インスリン抵抗性」が強くなる。実際、高血圧の人は、糖尿病、高脂血症、肥満などになりやすく、糖尿病の人は高血圧になりやすい。高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満の四つが合併すると、互いに悪影響をおよぽすことから「死の四重奏」といわれている。

高血圧患者の九割は、原因不明の本態性高血圧症といわれ、加齢や生活習慣、食塩のとりすぎ、寒さなどの気候、遺伝などのさまざまな要因がからまって発病している。治療法も、単に降圧剤によって血圧を下げるだけでなく、高血圧性の臓器障害や脳卒中、心臓病などの循環器病の予防なども求められるので、長期の投薬、通院が必要となる。一度、高血圧になったら、生涯つき合う覚悟を迫られるわけだ。

もちろん降圧剤だけでなく、太りすぎを改善する運動や、減塩、禁煙、節酒、脂肪のとりすぎに注意するなどのライフスタイルの改善が求められる。そういわれてくると、高血圧も少し気になり出すだろうか。そこで、乳酸菌に血圧低下作用があることを紹介しよう。

「血圧が高めの方に、毎日飲むことをお勧めします」……あの長嶋茂雄さんのなんともいえないハッピイな笑顔とともに流される発酵乳の広告だ。乳酸菌の菌体成分であるラクトペプタイドが血圧上昇を促進する酵素の活動をおさえて、血圧を下げる効果をうたっている。 


乳酸菌がコレステロールを下げる効果

「うに、えび、イクラ」  つい、手が出るすしのネタだが、やっぱり赤身にしておこうかと思うのは、予算のせいばかりではない。頭をよぎるのは「コレステロール」ではないだろうか。

「卵はだめ、とろもだめ、たらこだって、コレステロールは高いのよ」という声が耳もとで聞こえてくる。

コレステロールは本来、細胞膜や男性ホルモン、女性ホルモン、ステロイドホルモンなどの原料になる、体にはなくてはならない物質だ。細胞はコレステロールを効率よく取り入れるシステムを備えている。しかし、動脈硬化の発生に深くかかわるということで、すっかり悪者になってしまった。

そこでちょっと、コレステロールと動脈硬化の関係をみてみよう。

コレステロールといわれると、血液中にフカフカ浮かび、それが多くなると血管にべったりと張りつくように思っている人がいるかもしれないが、コレステロールは、そのままでは血液には溶けない。脂肪の一種であるコレステロールは、たんぱく質の一種であるリポたんぱく質と結びついて、血液中を流れている。

リポたんぱく質には、LDL(低比重リポたんぱく質)、HDL(高比重リポたんぱく質)、VLDL(超低比重リポたんぱく質)、カイロミクロンといった種類がある。とくに、動脈硬化の発生に深くかかわっているのがLDLで、悪玉コレステロールと呼ばれるもの。コレステロールの含有量が多く、コレステロールを体中に運んでいる。一方、HDLは体内であまったコレステロールを回収して肝臓に運び、胆汁やホルモンとして再生する働きがある。HDLが善玉コレステロールといわれるゆえんだ。HDLが優勢であれば、健康な状態といえる。

悪玉コレステロールが多いと、LDLは血管の組織に入り込み、マクロファージという細胞のえさになる。マクロファージは白血球の一種が変形したもので、ウイルスや毒素を食べて処理する働きかおる。LDLを食べてぶくぶく太ったマクロファージは血管壁に移動して、脂肪粒子をため込んだ泡沫細胞となって動脈硬化を促進するといわれている。 


ピロリ菌を減少させるLG21乳酸菌

ストレスなしでは語れない現代社会。このサイトを読みながらも、胃痛に悩まされている人がいるかもしれない。胃痛の原因のひとつに、胃潰瘍があげられる。さらにその原因が、胃の中の細菌、ヘリコバクター・ピロリだ。今や日本人の二人に一人が感染しているといわれているピロリは、胃潰瘍のみならず、胃がんとも深くかかわっていることが指摘されている。

ピロリは、胃にすんでいる菌。胃の中は、胃酸のおかげでかなり高い酸性状態に保たれているが、ピロリはそうした中でも生きられる。強い胃酸の中に「まさか細菌などいないだろう」と思われていたため、一〇〇年以上も前の一八七四年にピロリの存在は発見されていたのに、人体にどんな意味をもつかがわかってきたのは、この二〇年ぐらいのことなのだ。

ピロリが強い胃酸の中でも生きられるのは、ピロリがもつ酵素にある。ピロリがもつウレアーゼという酵素が、胃の組織中の尿素を分解して、アンモニアにする。アルカリ性であるアンモニアが胃酸を中和するため、酸性の強い胃の中でも生きのびられるというわけなのだ。

ピロリは、食べ物やふん便、水から感染するといわれ、口本人の場合は、戦中・戦後の衛生状態が悪かった時代に、水や食べ物を介して保菌するようになったのではないかといわれている。

日本人のピロリ感染率の平均は五〇%だが、四〇歳以上では七〇%、若い人だと二〇%と、年代によって、その保菌率が違う。ちなみに、アフリカや南米では、八〇%以上の人がピロリに感染しているといわれている。

胃酸は、食べ物や口から入った異物を殺すが、同時に、胃の粘膜も溶かしてしまうほどの強い酸だ。胃の粘膜は、大量に分泌される粘液によって守られ、また、胃の粘膜細胞から分泌されるアルカリ性の重炭酸イオンによって、粘膜表面が中和されている。


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