ヨーグルトや乳酸菌飲料の効果的な利用法

私たちの体の中で、いちばん病気の種類が多いのはどの部分だと思われるだろう?  答えは「大腸」だ。現代大の病気の原因の多くは、腸内環境にある。  大腸といえば、ウンチをつくるだけの、暗い、きたない、臭い臓器とお思いではないだろう か。体の中で、脳や心臓といった臓器は大事にされるのに、不当な「蔑視」を受けている大腸。 この大腸こそが、ドツコイ、健康の発信源なのだ。

ロに入れた食物は胃で分解され、小腸でほぼ消化・吸収され、残りが大腸へ行く。そこで水分 の約20%が吸収されて、残りの食べカスが便として排出される。そのとき、便と一緒に腸卯内細 菌が大量に排出される。その数は大使一グラムあたり実に一兆個にもなる。これらの腸内細菌 は、大腸内の成分によって繁殖し、また、生育する細菌の種類やバランスも変わる。大腸は腸内 細菌の培養器官でもあるのだ。

腸内細菌の種類は500種以上にもなり、腸内細菌のバランスが崩れると、便秘や感染症、大 腸がんや過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎など、さまざまな病気の原因となる。また、痴呆症や生 活習慣病とも深い関係をもつ。現在おきている多くの病気が、その関与なしには語れないほど、 腸内細菌は重要な存在としてクローズアップされてきたのだ。

一方、腸内細菌叢の全容がわかったことにより、これまでわからなかった乳酸菌の驚くべき機 能もまた、あきらかにされてきた。乳酸菌には、大腸がんをはじめとするがんのリスクを低減す る効果や、胃がんの原因といわれているヘリコパクター・ビロリの活性抑制効果、花粉症やアト ピー性皮膚炎などのアレルギーを軽減する効果、 免疫活性を活発にする効果 、コレステロールを 下げる効果、血圧を下げる効果、腸内環境を改善することで、過敵性腸症候群や潰瘍性大腸炎を 予防し、便秘を解消する効果かおる。さらに、老人性痴呆症を予防したり、歯周病をなおず効 果、肌をきれいにする美容効果もあるのだから、乳酸菌を健康のために使わない手はない。

こうした機能性乳酸菌を使ったヨーグルトや乳酸菌飲料を、自分の状態にあわせて賢く選べ ば、病気が予防できて健康になるばかりか、治療効果も望める。今や、ヨーグルトは「腸内の環 境を整える、お腹にやさしいという時代から、それぞれの乳酸菌のもつ機能によって、病気の予 防や症状の軽減に役立つ時代」になった。入の体に有益な働きをずる生きた微生物を効果的に利 用する「プロパイオティクス」によって、私たちはあらたな予防医学を暮らしの中で実践できる ようになったのだ。

現在わかっているところのほとんどすべての機能性乳酸菌の種類と効果の最新情報 を紹介し、ヨーグルトや乳酸菌飲料の効果的な利用法も解説している。

そして、こうした機能性乳酸菌の発見は、ここ1~2年で飛躍的に進んできた腸内細菌の研究 によるものだということを強調しておきたい。ヒトの腸内細菌叢の全容は、私たちが実施してい る分子生物学的手法に上る腸内細菌クローンライブラリーの構築によって、世界で初めてあきら かにされた。また、T-RFLP法による「腸内細菌プロファイル」によ り、困難とされてきた腸内細菌の構成を簡便に検索できるようになった。こうした腸内細菌研究 の成果は、直接、私たちの健康に何か必要なのかを提示してきたと自負している。さらにこの研 究は、将来の健康管理のひとつとして、一人ひとりの腸内環境と病気やライフスタイルを関連づ ける「腸内環境データベース」を実現させると期待されている。

また、腸内細菌叢と病気との関係についての本格的な研究の結果、世界で初めて食品の健康効 果をうたう「特定保健用食品制度」ができたことも特筆すべきことだ。腸内細…困研究が食品の機 能を明確に示ずことで、多くの人々がその成果を利用できるようになったからだ。

今後、よりいっそう、ヒトの腸内細菌叢の構成や、腸内代謝の変動などの正確な検索が可能に なれば、私たちの健康増進に必要な食品の評価にもつながり、「ヒトの健康に効果を示す」プロ バイオティクスの新しい機能に関する研究もさらに進展ずるだろう。

腸内年齢が老化している現代入とくに若い人々の実像、進みゆく21世紀の腸内細菌 研究の現状の成果と展望、ブロパイオティクス健康法などを紹介している。機能性乳酸菌を有効 に利用し、食生活やライフスタイルを改善することで、腸内細菌のバランスを上くすれば、病気 を予防し、健康を得られる。「細菌がおこす病気を、細菌をもって制す」ことは、今日からでも はじめられるだろう。

 
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